水やり。

太陽とさんざん遊んだみどりたちは今日もまたひとつ育ったみたいです。

「またね。」
太陽は地球のあちら側とも約束をしています。
そうやって日が陰るころ、
「お水ちょうだい、喉渇いたぁ。」と声が聞こえます。

まずはジョーロの太口で根元にごくごくと注ぎます。
「もういいよ、ありがと。」とみどりたちは鉢のおしりからおしっこをこぼして答えます。

つぎはデザート。
ジョーロの口をシャワーに替えて上からわーっと降らせます。
「うはぁ、気持ちいい。」
葉っぱには水滴の子供たちが生まれて、スベリ台やらブランコやら大騒ぎ。
「楽しそうだねー。」

いつしか私もマイナスイオンに囲まれて、ここちよく癒されていたりするのです。
風がさわやかにおくれ毛を遊びます。
「くすぐったいなぁ。」

いちばん好きな緑の季節です。
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# by r_dew_1 | 2007-05-05 17:18 | A4  

バカバカしい思索。

一昨日、億万長者になった夢をみた。
まだなにも買ってないし、美味しいものも食べてなかったし、どこにも行ってないのに
「わぁ、億万長者になったんだ。」という気持ちだけで、
目が覚めた。
『現実ならよかったのに...。』

なんと昨日は慣れない車を運転していてブロックにぶつけてしまう夢を見た。
我が家の車がみごとにへこんだ。
「やっちゃった、運転なんてしなきゃよかった。」と後悔しきり。
目が覚めた。
『現実じゃなくてよかった...。』

よく考えてみたら、やっぱり現実だったらよかったと思う。
だって、億万長者なら好きなだけ新車が買えるんだから。
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# by r_dew_1 | 2007-04-19 17:09 | A4  

いよいよきたか、と思った。

おひるごはんに卵レタスチャーハンを作ろうと思った。
今日は卵を3個使っちゃおう。

ひとつめをボウルに割り入れる、殻を生ゴミ受けに捨てる。
ふたつめをボウルに割り入れる、殻を生ゴミ受けに捨てる。
みっつめを生ゴミ受けに割り入れる、殻をボウルに捨てる。

あーーーーっ!

まちがったぁーーーっ。

って、間違う以前の問題だよな。
卵がこんなにさみしいと思ったのははじめてだ。
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# by r_dew_1 | 2007-03-15 22:23 | A4  

再会。

わっ!このひと!
あのときと同じドキリが胸で鳴った。

テレビに映ったポスターは確かにあそこで会った人だ。
忘れることの出来ないインパクトだったから。

もう15、6年くらい前の話。
遊びに行ったのか用事だったのかも覚えていないくらい。
普段はあまり行くことのない横浜伊勢佐木町のファーストフードのお店だった。

トイレの入り口のドアを開けると、正面の鏡にうつっていた人。
ドキリ。その姿に一瞬、腰を抜かしそうになった。
3秒くらいはフリーズしたかもしれない。
狭いファーストフード店の洗面所はふたり入れば満員で、
でもすぐに出るのも失礼なかんじがして私は軽く会釈をしてトイレに入った。

独特の化粧と服装、これまで出会ったことのない雰囲気は
脳裏にくっきり焼き付いて記憶写真になって留まっていたようで、
あ、あのひとだ。
テレビに映ったその人の写真は瞬時に私のそれと一致した。

テレビはすぐに次の話題に移ってしまったけれど、
初めて聞いた彼女の名前を検索した。
ヨコハマメリー

彼女は映画となり、写真集となり、舞台となって、ネットの上にも咲いていた。
伝説の物語を抱えたその人とすれ違っていた事実がいまはひどく不思議なかんじで、
特別な一瞬だったと思ったりしている。
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# by r_dew_1 | 2007-03-13 22:43 | A4  

あじさいの春。

冬のあいだサボっていたのに、芽が出てる。
それどころか、葉っぱがすでに何枚も開いてる。

植え替えもしてあげなくっちゃ。
枯れ葉も除いてあげなくちゃ。
肥料も入れてあげなくちゃ。
ちゃ、ちゃ、ちゃ、で、もう春が来た。

でもあじさいのそんなところがいちばん好きなんだ。
秋早々に潔く葉を落とす、ちっぽけな小枝になって冬をまともに受け止める。
もう、死んだの?って何度も思う。

それなのに誰より早く春をつかまえる。
そうなるともう止まらない勢いで、次々次々手品みたいに葉をつけていく。
私はこうして毎年おすそわけの元気をもらう。

あわてて液肥なんか投入。
新芽を折らないように、丁寧に枯れ葉を除く。
鉢の汚れもきれいに拭き取る。

入学式の一年生みたいにピカピカだ。
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# by r_dew_1 | 2007-03-09 22:23 | A4  

ホントは悔やんでる。

茶渋が付くのがイヤなので、大切なカップではお茶を飲まない私は一体なんなんだ。
漂白はすればするほど、さらに付きやすくなる気がします。

でも、もったいないよ。
ってことで、使いはじめたロイヤルコペンハーゲンのマグ。
なんでだかソーサー付きなのは、ブレックファーストカップっていうものらしいから。

スポンジの滑りよろしく、洗う私。
まぁ、使ってこそ食器というものだよ。
ニンゲンだってン万円もかけて美白するんだから、時々の漂白剤なんてやすいものだよ。
それにしても、貴女のブルーはきれいだねぇ。あっ、

あーっ!
ふ、ふちががぁ〜。

貴婦人は、はかなくも倒れたのです。
社会生活における経験不足にちがいありません。

貴婦人を支えてきたソーサー男爵も今となっては中途半端なヤモメです。
食器棚では転属を重ねた末に窓際となるのでしょう。
ごめんね、君のおしりのマークが捨てられないのかもしれない。

で、再び、百戦錬磨で生き抜いた野武士のマグに戻ったわけです。
Hello,Kitty!
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# by r_dew_1 | 2007-02-23 00:02 | A4  

ちずるちゃん。

幼稚園のころ、ちずるちゃんっていうとても絵のじょうずな女の子がいました。
お誕生日の月に配られるカードには『おともだちにかいてもらいましょう。』の欄があって、みんながちずるちゃんの前に並んで順番を待っていたことを思い出します。
私も、もちろんちずるちゃんに女の子がお花畑で遊んでいる絵をかいてもらいました。12色のサインペンを巧みに使い分けながらカラフルに描くちずるちゃんの手許から生み出される世界をまるで自分が主人公になったようにうっとりと眺めていたに違いないのです。

そんなことを考えながら、大人になっても相変わらず私の目と脳と指先は絵神経で結ばれていないことを再確認してみたエルニーニョの今日でした。
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マウスでお絵かき道場
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# by r_dew_1 | 2007-02-16 00:30 | A4  

リラックスとリフレッシュ。

ケンカをして、ぶすっと中座したままお風呂に入った夫が一向に出てこない。
外からうかがうと水音ひとつしない。
ケンカしたけど、なにも死ななくても。
と、のぞいてみた。

カチャリと細くドアを開けてみると、文庫本を手に湯船に浸かっていた。
「何?」
「本、読んでるの?」
「そうだけど。」
「ふーん。ページがめくりにくいよね。」
「そうでもないよ。」

私も昔はよくお風呂で本を読んだっけ。と思い出した。
持つ手が冷えてくるので交互に替えたり、体があつくなるとバスタブに腰掛けたり、脚を上げてみたり。
換気をしたり、と思うと追い炊きしたり。
湿度を吸い込んでクタとなったページを濡れた手で慎重にめくるのはちょっとした技だ。

しばらくしてあがってきた夫からはホカホカと石けんのにおいの湯気が立ちのぼってる。
頬をピカピカさせて違う国から帰ってきた人のようだった。
聞けば、出張先のホテルではいつもこうしているのだという。
お湯の溜め具合から、温度の調整、洗うタイミングとお風呂のタイプに応じていろいろ試してもいるらしい。

無頓着だとばかり思っていた夫があれこれと工夫しているのが可笑しい。
濡れた髪をゴシゴシと拭きながら、極めつつあるお風呂道を話す姿にちょっと笑った。

でもさ、長湯には水持って入った方がいいよ、死んだら私、困るもの。
なんだか私の戦闘ページも上手くめくられてしまったみたいだった。
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# by r_dew_1 | 2007-02-12 17:36 | A4  

キミドリ小学校2年1組 青紫 あい。

わたしのしょう来のゆめはへんくつばばぁになることです。
へんくつばばぁは同じ洋ふくをたくさんもっています。
同じ洋ふくなのでみんなはくさいとおもっていますが毎日せんたくをしています。
へんくつばばぁはろう人会にはいりません。
いあんりょこうでりょこう会社にだまされるのがいやだからです。
へんくつばばぁはねこがすきです。
でもかいません。じぶんがさきにしぬからです。
へんくつばばぁはむかし子どもをうみました。
ゆうめいな会社のじゅうやくになってがい国にいてにほん語がはなせません。
へんくつばばぁはこ金をためています。
こそどろをおどろかせてこしをぬかせるためだといっていました。
きのうへんくつばばぁが走っているのを見ました。
やきいものトラックをおいかけていたのです。
わたしはへんくつばばぁになりたいです。
どうしてかというとへんくつばばぁはじぶんをしんじているからです。



●青紫さんの近くにこんなおとしよりがいるのですね。
けれどもばばぁというのはやめましょう。
くとうてんをつけましょう。
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# by r_dew_1 | 2007-02-05 17:36 | A4  

守らなくちゃいけないもの。

こんなに暖冬で、桜はうまく咲くのかなぁ、なんて思う。こうしている机からは桜並木が見下ろせる。桜は好きだから部屋のこの場所も好きだ。毎日ながめていると、春の芽吹きや開花はもちろん、緑の葉桜、染まる紅葉、日に日に積もる落ち葉、寒さの中で無防備な枝を固くしている姿にも愛着を感じる。そして雪。今年はまだ枝に積もる雪景色を見ていない。雪が降ると、「頑張れ、もうすぐだよ。今が咲くための理由だよ。」と心で声をかける。ズッシリとしたぼたん雪にも、吹きつけるような大雪にも、枝を広げてじっと受け入れる様子をながめていると、この樹はきちんと自分の役目も意味もわかって少しずつ大きくなりながら、何年も何年も生き続けているのだと思う。自然が自然であることを当たり前に信じてる。だからきっと今年の暖冬だって、自分のできる精一杯の調節をしながら乗り越えるのだろう。早いのか例年通りなのか、もう針のような小枝が空に向かって少し伸びはじめている。生命なんだとしみじみ思う。今日もシャンパンゴールドの西日を受けながら「今年はあったかいね。」なんて雑談、聞こえてきそうだ。

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# by r_dew_1 | 2007-02-03 16:08 | A4  

いつまでも食べたい魚。

漁獲量制限でマグロはいよいよ高価なものになりそうです。
そういえば去年くらいまではあんなに安かった輸入サーモンもだんだん高くなってきました。寿司ネタとして重宝されてきたせいでしょうか。我が家の食卓は魚8:肉2くらいの魚食家庭なので、魚が高くなるのは困ります。
私が幼ない頃、川の汚染で鮭が穫れなくなった時期がありました。高価になってしまった鮭に「鮭なんて昔はネコマタギっていったんだぞ。」と父がいっていました。猫もまたいで通り過ぎる。ってことだそうです。その後、カムバックサーモンキャンペーンがはじまったことを記憶しています。そうそう、それから何年かを経て水質が改善され美しくなった日本の川に鮭たちは戻ってきました。
ローカルですが、ハタハタという魚があります。鍋ものにも使うし、ひと塩の一夜干しにするととてもおいしい冬の魚で、地元の食卓にはかかせません。それが十年くらい前、すっかり穫れなくなってしまいました。そこで地元の漁協が決断したのは、禁漁という選択でした。それを生業としている人たちには死活問題だったと思います。
「...ハタハタ禁漁の話をすれば 、地元でさえ皆に反対されたもんだった。だども、今の自分らが我慢すれば息子や孫達にハタハタを残してやることができるべな。その一心で決断し説得を決意した 。わいは、禁漁期間中は一口もハタハタを口にしねがった 。
仲間の漁師が出稼ぎで家族と別れるところをテレビで見たども、あの時は『仲間につらい思いをさせてすまねえな』 としきりに涙が出てきたっけな 。それから、 解禁前の夜は緊張して眠れねがったものな。 もし獲れなかったら死んでお詫びをしねばならねと、枕元にロープを置いた。 だども、その日息子からの大漁の知らせ聞いて、ほんとおもせがった。自主禁漁を破った秋田の漁師は一人もいねがった。 秋田の漁師ってのはすげもんだ。おらは誇りに思ったな」( 当時 秋田県漁業組合長であった佐藤氏のインタビューより)
ときに忍耐の選択って、大切なことと思います。
もっともっと昔にはニシン御殿のはなしなんかもありますね。いまでは数の子なんかほぼ輸入なんだと思います。っていうか、もうニシンという食材は日本人にとってそう重要ではなくなってしまったのでしょう。あ、魚ではないけれどクジラなんかもそうですね、いまはすこし手に入るようになりました。調査捕鯨として許されたものらしいです。もしかしたら体の素の細胞だって個々の食文化が影響しているのかもしれません。
今後、マグロの行く末が気になります。漁獲制限や人件費の高さで船を手放してしまう人もいるそうです。日本のマグロ漁船はそれに特化した高性能なので中国の人が高い値で買っていくのだそうです。いまとなってはツナではなく、世界のマグロらしいのですが、見事な大トロをポイポイと鍋に放り込み、辛そうなタレに浸す姿をみると、漁獲制限という忍耐で解決できる問題ではないんじゃないかと思ったりします。マグロの美味しさは世界中に知れてしまいました。で、マグロの養殖が早く軌道に乗るといいです。ノルウェーサーモンみたいに脂の乗りも、身の色もお好みで承ります。みたいに世界に打って出れる日もくるのではないかと思います。そうすれば天然ものを乱獲から守れるかもしれないし。世界的に食料が危うくなっている昨今、謙虚な気持ちで自然の恵みを分け合い、知恵と責任を持って安全な食料がみんなにいきわたることを願うばかりです。チョウザメ(キャビア)みたいな運命をたどらないように。

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# by r_dew_1 | 2006-12-30 23:27 | A4  

沖縄。

「Tシャツ1枚だよぉ〜、ふっ、エアコン入れてるんだ。」
今朝ダウンジャケットの後ろ姿を見送ったばかりだというのに。夏好き、海好きの夫からの電話は妙に機嫌がいい。沖縄は暖かいのかぁ、いいなぁ。こちとら靴下二枚重ねよ。
「んじゃ、ローゼル見つけたらよろしくね。」
ローゼルって、ハイビスカスのガクです。お茶にしたり、ジャムにしたりします。フレッシュの収穫期は10、11月らしいけどあったら買ってきてね、と頼んでいます。物産店でこれを見かけてからというものはまってしまい、ジャムにして保存します。先月買い込んで作ったものは早くも在庫薄。そんなとこでの夫、沖縄出張なのでした。
実はわたくし、沖縄本島には行ったことがありません。でも石垣や竹富、西表には3度行ってます。そのころはまだちゅらさんも、Dr.コトーもいない時代で何気ないニガウリのおひたしだってカルチャーショックな代物だったのです。ゴーグルとシュノーケルを手に海ばかりをめぐっていたのだけれど、どこも本当ににきれいだった。陽が届く浅瀬にサンゴがあって、イソギンチャクがいて、クマノミが寄ってくる。あんなに無邪気でひとなっつこい海にはこれから先もう出会えないと思う。行けばまだあるかもしれない海だけど、あのころの極彩色の自分はあのころのままにしておきたい気もします。

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# by r_dew_1 | 2006-12-15 12:49 | A4  

月の砂漠。

ドーハアジア大会が始まりました。
開会式はスゴかったです。オリンピックを越えた豪華な演出で最後まで観てしまいました。中東というと最近は戦争のイメージが強いですが、ひさしぶりにアラビアロマンというかんじが思い起こされました。そしてやっぱオイルは強いなと(笑)。アラビア人が描く日本にも笑った!大名姿に力士風大銀杏で少林寺っぽいダンス(バク転とか有)。あのドーハの悲劇ももう過去のことだと忘れてしまえる一幕でした。中国もなんだかサンバカーニバルみたいな花輪を背負ってたし。ロシアはコサックとバレエが混在してた。でもね、不思議と各国の文化に懸命に敬意を払ってる気持ちが伝わってきました。素晴らしいエンターテイメントでした。
で、唐突に月の砂漠なんかを想うのです。『月の沙漠』はとても好きな歌のひとつ。4番までの歌詞の世界観がほんとうにいいです。月と、砂漠と、ラクダと、金色と銀色と、王子様とお姫様と、白い上着と、音のない世界。でもこれは日本人の情緒的なイメージだそうです(御宿の砂浜発)。朧にけぶる月の夜のおはなしですが、アラビアの砂漠のそんな夜はすさまじい砂嵐だそうです。そして金や銀の鞍では王子も姫もお尻が大やけど。ラクダだって熱っちっち。
でもやっぱり月の砂漠はいいのです。だから力士風大銀杏のサムライでもいいのです。
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# by r_dew_1 | 2006-12-03 07:55 | A4  

読書。

読書の秋。というけれど、わたくし的には読書は夏のほうが進みます。正確にいえばムラが多く、読まないときは全然読まないし、読み始めるとずーっと読んでます。ここ数年はほとんど本を買っていません、ほぼ図書館から借りてます。保管場所も困らず、本を捨てるという心苦しさもなく、タダだし、最近は新刊にもあまり興味がないので絵本から哲学書まで借りまくります。読まなくてもなにかしら借りてきてそこいらへんになにかしら数冊転がっているという読書環境です。
で、図書館病(仮称)をわずらっているよう。どういうことかというと、読みはじめの冒頭部がおもしろくないともう読まなくなってしまうのです。もう少し頑張ってみて臨界期を越えようなんて気がさらさらない。特に小説。そう、小説についての読書スタイルは肌合い重視なので、冒頭十数ページの感触で文体や描写がしっくり同化できないとまったくダメ。我慢・忍耐なんてしなくなってしまうのです。偉そうにも、却下というかんじ。そんなことを夫に話すと、彼はどんなにおもしろくなくても読もうと決めた本を手にしたら最後まで読んでみるといいます。そうすると違ってたりすること多いよと。ちなみに彼は購入派です。
つまり、自分で本を買わなくなってから読みたいものを選ぶ能力や臭覚が衰えてしまったようなのです。お金を出して読もうとおもったら、つまんないものは買いたくないし、損したくないと思う。だから一生懸命選ぶ。そしてせっかく買ったのだからと、とにかく最後まで読んでみる。読書って、そういうところからはじまっているのだなぁ、といまさら気づくのでした。それに活字に対して若い頃にように旺盛な渇望はもうなくなっているからどれでもとか、なんでもとか、いうふうではなくなってきた気がするし。数少ない趣味として原点にかえってみようと思う次第です。
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# by r_dew_1 | 2006-11-16 21:41 | A4  

進化。

この時期、暖かい朝にはまだ迷う。
シャキッとそのままの水道水か、温水にするか。
シャキッとする理由もみつからなかったので温水で顔を洗う。

蛇口をひねると今日も正しく温度調整された心地よい温水が排水溝めざして流れ落ちる。
なのに手のひらでそれをすくって顔を洗うなんて、ちょっと原始的な気分だ。

両手のひらは何十年もの地道な訓練でピタリと合わさり器をつくる。
手の器には温水がまるく貯められて、まるい温水を顔のかたちに貼付ける。

でも今朝はまるい温水は出来なかった。
蛇口から流れる水は手のなかいっぱいに貯まる手応えもみせず、ずるずると漏れて排水溝へ落ちていく。
合わせた手を見ると穴が空いていた。
五百円玉くらいの穴が手のひらの真ん中に右手左手ひとつづつ。

「あれぇ〜?」
意表をついた出来事に固まって眺めていると、ずっと昔から空いていたような気もする。
珍しい手の穴を片目に近づけてのぞいてみたり、左右のひらを裏返したり重ねてみたり、ぶらぶらと振ってみたりしたけれど幻ではなさそうだった。

「おはよう。なにやってんの?」
妹がうしろから声をかける。
「これ、見て。」
手の穴をかざす。
「なにが?」
「なにって、この穴。」
「手穴でしょ。」
「て、手穴って?」
「お姉ちゃん朝からおかしいよ。どいて、どいて。」
洗面所に立った妹はゴム製のキャップのようなものを手慣れた動作で左右の手穴にはめると、いつものように水を受けて顔を洗った。

ダイニングへ向かうと、家族の朝はいつもと変わりない。
自然、それぞれの手に目がいく。やっぱりみんなが手穴を持っている。

「ねぇ、これって何?」
誰にともなく聞くと、訝しそうに私を見る。
あとから食卓についた妹が、
「お姉ちゃん、おかしいんだよ。」と、さらりと受け流した。

朝食を前にして、手穴に指を差し込んでみると、すぐさま母に
「子供じゃないんだから、手穴にそんなことするんじゃないの。」とたしなめられた。
私は気になる手穴をあきらめて、疑問が解決されないまま朝食をとった。

「いってきます。」
外に出て歩き出すと、案の定スースーと手のひらに風が吹き抜ける。
それじゃなくても気にかかって仕方ない手のひらにいっそう神経が集中してしまう。

道ゆく誰の手を見ても手穴はあった。
つり革につかまる手、新聞を読む手、ケータイする手。バッグを持つ手。
どんな手にも穴が空いていた。
そして不思議にもこれまでの穴のない手とは機能的にもそう変わりがないのだった。

もうどうでもいいような気持ちで会社の席に着く。
迫っていた締め切りを思い出した。気持ちを切り替えなくては。
「あれ?」
キーボードがない。

「どうしたんですか?」
向かいの後輩が声をかけてきた。
「キーボードがないんだけど。」
「キーボードってあの、楽器の?」
「えっ?」

後輩の手穴には何か丸いものがピタリと収まっていて、瞬時に悟った自分の勘が当たらなければいいと願っていた。
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# by r_dew_1 | 2006-11-06 01:43 | A4  

秋味。

「上海経由できたんですけど、お買い物の途中お友達とはぐれちゃって...。ここって日本近海かしら?」
そのサーモンは見事な金刺繍のチャイナドレスをまとっていた。
「急いでますの。秋にはノルウェーの川に帰らなければなりませんの。でないと、このお腹のイクラちゃんが、父なし子になってしまう。」
「それは大変ですね。身重のあなたにこんなこと言いたくはありませんが、実はもう秋なのですよ。」
そういうとサーモンはハラハラと涙を流しはじめた。

魚の涙は珍しくない。
こうして日がな岩肌にへばりつき、行き交う潮流をながめているとさまざまな境遇の魚たちに出会う。
魚たちはみな急ぎ、泳ぎ続けているから、涙が粒にならないだけだ。

ときどきこんな風に潮流に迷った魚が声をかけてくる。
泳げなくなった老魚や、傷ついてまっすぐに進めなくなった魚、最近はもう魚などやめてしまいたいとわたしの頭上ばかりを回旋し続けているものもいる。

「上海はいかがでしたか?」
行き場を失ったサーモンにそう訪ねてみる。
「それはそれは活気があって、楽しくて。」
いまはもう後悔ではちきれそうなドレスのスリットをなびかせてそうサーモンは答える。

「なぜ上海に?」
「若かったのですね、異国の匂いを乗せてやたらと行き交うタンカーに憧れてしまいましたの。」
「ノルウェーは遠いのでしょう。」
「来るときはそう苦にはならなかったわ、でもいまはすっかり迷ってしまいました。このまま神様への責任も果たせずに死んでしまうなんて。」
「神様への責任?」
サーモンはお腹の辺りをゆるりとくねらせた。

その部分の鱗は透けてしまうように白く、角度によっては銀色に光っている。
神様は命には命を乗せる仕組みを決して忘れない。
どんな時代にも意味だけはひっそりと備えておく。

「もうすこし頑張れますか?ここをまっすぐに泳いでいくと、大きなコンブの森につきあたります。そこはとても険しいのですが、抜けると川につながるといいます。わたしが行きあう魚たちから聞いた話です。」

          ***

身重のサーモンは潮の流れとは真逆のコンブの森の方向に泳いでいく。それはとても遅々としていて哀れなほどだ。
脱ぎ捨てられ、さっきまで岩にからんでいた金刺繍のチャイナドレスがほどけてそれよりはやく潮に乗って流れていった。
潮流はただ銀の鱗のためだけに流れている。
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# by r_dew_1 | 2006-11-02 15:19 | A4  

団栗作戦。

コナラの樹の下にはどんぐり坊主がいっぱい落ちていました。

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アスファルトに産み落とされてしまったものも数知れず。たとえ、土の上であっても整備公園にあっては前途は多難なものです。
ほんとうは、やわらかな土に落ちて、秋の雨に水をもらい、紅葉の掛け布団が落ちてきておくるみになり、おくるみが腐葉土となって栄養と育てをするものですが、過酷な都会生活においてそんな自然は訪れることはないのです。


で、「団栗作戦」。
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ポケットに出来るだけ詰め込んできました。
移動手段を持つものとして微力ながら、播種に一抹の望みを託します。
散歩の際、めぼしそうな場所場所(あるのか?)に播いてしまおう。という魂胆です。
ゲリラ的エコテロなのです。




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どんぐりのせいくらべ実証編
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# by r_dew_1 | 2006-09-27 14:16 | A4  

何が釣れてるんだろ。

この心地よい陽気を逃すまいと、photo散歩へいってまいりました。
しょーもなく行き当たりばったり、テーマ性のカケラもないものなので、通常はmyオクラ入りですが載せてみまして、みました。


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釣り糸を垂らしているひとが結構いたので声をかけて撮らせてもらいました。


私        「何が釣れるんですか?」
おじさん 「ほれっ。」
私        「かわい〜っ。」

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私        「これ、何?」
おじさん 「ハゼだよ、ハゼ。」
私        「かわいい顔してるんだ〜。」

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おじさん 「持ってくか?江戸前だよ、江戸前。」
私        「おいしそうだけど、かわいいからいいよ。ありがとう。」



天ぷらで食べてみたかったけどおじさんの収穫は3匹だったし、横取りはできないよ。




女の子がおとうさんと。
ちっちゃい手でバケツの魚と遊んでいました。


私        「写真、撮っていい?」
女の子: 慌てて、魚をバケツに戻す。
私        「おててで持ってるとこ撮りたいなぁ、いい?」
女の子: すっと魚をすくって差し出す。

私も一生懸命撮る。

おとうさん 「○○ちゃん、パンツ丸見えだぁ。」
あちゃ、私もお魚に夢中で気づかなかった。


彼女の健気な誠意と名誉のため、セクシーショットはトリミング。
お魚とおててだけで...。

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サラサラ髪のかわいらしい女の子。
メガネの奥の瞳をのぞくと美人さん予備軍でハッとさせられました。
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# by r_dew_1 | 2006-09-26 14:30 | A4  

天使犬?

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本日の空
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# by r_dew_1 | 2006-09-23 23:16 | A4  

土星。

歩いていると、キンモクセイがかおります。
日ごとにそれは広く漂って、窓ごしからも甘いかおりがやってきます。
グズグズしている間にそんな季節になりました。

弟にさがしてもらって初めて土星をみた夜。
キンモクセイがかおっていました。

なんて、美しいのだろう。って、
あなたはこんなもの覗いてたの。って、
天文年鑑なんて生意気なものを抱えて..でも手の甲で鼻水拭いてて..。

あの頃から土星はきっと変わらないのだろう。
新しい輪っかが発見されたそう。
もしかしたらみえないだけで本当は100くらいあるのかもしれない。
そうしてもしかしたら、匂いだってあるのかもしれない。

その匂いが明らかになるまで、
土星はキンモクセイのかおりがする。と決めている私です。
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# by r_dew_1 | 2006-09-22 08:46 | A4  

台風でブタが飛ぶ?

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本日の空
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# by r_dew_1 | 2006-09-18 22:33 | A4  

猫。

昔、数日預かった『メンマ』という黒猫は気難しくて、気性の荒い猫だった。
高級なネコ缶には目もくれず、ぶつ切れ入りの生臭いネコ缶をそれもほんの少ししか食べなくて預かっているあいだ中、決して気を許さず、部屋の隅でわたしの一部始終に神経を高ぶらせていた。
つややかな毛並みとしなやかな肢体をもった若くて美しいメス猫だったけど、先数センチ(たぶん)を失った折れしっぽだった。それでもメンマはその先端までつんと神経を行き届かせて品よく歩き、跳んだ。

その夜はとても寒かったように思う。ようやく暖まりかけた足の辺りにぬくもりが滑り込んだ。よけると、さらに絡みついてきた。
メンマに違いない。いつになく寒い夜と、ともに過ごした幾晩かで少し心を許したのかもしれなかった。

「メンマ、おいで。」
わたしは掛け布団の隙間から声をかけた。
けれどもメンマは足先をもてあそぶばかりで、声に従うことはなかった。

昼間のメンマは相変わらずの気難しさだったが、深夜ウトウトと寝入るころになると、足元に忍び込んでくる。わたしはもう声をかけて呼ぶこともなく、朝目覚めるころにはすでにメンマは部屋の隅で丸まっているのだった。

飼い主が帰ってくるという前日、メンマにいった。
「よかったね、やっとお家に帰れるよ。」
メンマはめずらしく、わたしの足もとをするりと八の字に抜けた。

その夜もメンマはわたしを訪れた。
これまでの夜と違っていたのは、スルスルと上半身にむかって上ってきたことだ。しばらく腰のあたりにいたかと思うと、胸の下に止まり、がさがさとわたしの寝衣を掻く。ふところにとどまったそれをおもわず抱え込みそうになったわたしは衝動を押さえ込んで耳をすました。ひんやりとした寝室の空気に、掻く音ははっきりとした言葉を奏でていく。

「いいよ、いいよ...。」
「あんたなら、いいよ...。」
「あたしはね、しっぽの先をさがしにいくよ...。」

     ***

しばらくして、メンマがいなくなってしまったと飼い主から連絡が来た。
それから数ヶ月。わたしはメンマの飼い主の部屋で暮らしている。いまもまだメンマのおしっこの匂いが残っているような気がするとき、しっぽの先が冷蔵庫のうしろに隠れているんじゃないかと安いネコ缶を開けてみたくなる。
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# by r_dew_1 | 2006-09-18 11:10 | A4  

ピーポ君がやってきた。

はい、秋の交通安全キャンペーンです。
マンションのすぐ下に自動車教習所があるのでね、そのイベントです。

おかあさんとこどもたちがいっぱい。
炎天下のなかピーポ君のがんばりは涙すら誘いました。
でっかい頭にちょぼちょぼ歩きのピーポ君のやさしさ。
ここで転んではこどもたちを圧死させてしまう、そんなリスクともたたかっているようでした。

終了のアナウンスが流れ、関係各位のおじさま方がハケても
幼児たちはピーポ君のそばから離れようとはしません。
おかあさんたちは我が子の圧死の可能性も省みず、女流カメラマンの道をあゆみます。
フレームに収まるべく、でっかい頭のピーポ君は過酷な中腰ポーズにも耐えていました。

高みからではありますが、
「ピーポ君、君は素敵だよ。湾岸に住むネズミたちよりずっとね。」
と、エールを送ってみました。

そして、ピーポ君は幼児たちにも追い越され、
ちょぼちょぼ歩きで誰もいなくなった教習場を去っていくのでした。
ピーポ君にキンキンに冷やしたビールと勲章を。(中身に。)
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# by r_dew_1 | 2006-09-09 18:15 | A4  

本格中華。

今夜は麻婆豆腐にしようと思う。

そろそろ支度を始めようと冷蔵庫を開けたら、豆腐の上に小人が腰掛けていた。
びっくりしたようにこちらを見たので、「ゴメンナサイ。」といってあわてて閉めた。

小人がいるのはかまわないが、麻婆豆腐はどうしようかと思う。考えた末に麻婆茄子に変更を決め、野菜室を開けると、昨日買ったばかりの茄子は皮が真っ白だった。ポリフェノールが抜けてしまったのかもしれない。
取り出した茄子は意外にも新鮮で、鋭いトゲで指を刺してしまった。

指の先から豆粒のような血がぷっくりと湧いた。
血の粒はあれよあれよという間に大きくなり、ふるふると震えだしたかと思うと、コロリと転がり、私の手のひらに収まった。相変わらず小刻みに震えている。

どうしたものかと見つめていると、薄い血の膜を突き破り、中からぬるりとしたものが現れた。
「ふぅ。」
大きくため息をついたそれは、小さな中国人だった。

何故中国人かというと、いかにも中国人だったから。戸惑う私に、
「ったく、麻婆茄子は邪道だよ。」と、いきなり生意気な口をきく。
「日本人は中国の歴史まで変えちゃうんだから。」どこかでよく聞く台詞だ。
「で、オレが派遣された訳だよ。はいはい、手っ取り早くやっちゃうから、豆腐出して...。」
豆腐に座ってる小人はどうするんだ?そう、考えている私を見透かすように、
「さっき、座ってたのオレの助手だから。」

「はぁ。」
すっかり中国人ペースで、言葉もでない私が再び冷蔵庫を開けると、さっきの小人の助手は豆腐のパックをずるずると引きずってこちらを見た。
「早く、手を貸して!」
「は、はい。」豆腐を出す。
「早く、こっちも!」
「あ、はい。」助手に手のひらを差し出す。

シンクの脇に立ったふたりの小人中国人は、あれこれと早口で私に注文を出す。
「あぁー、そう切っちゃだめなんだよ。」とか、「あちゃー、この豆板醤は偽物だ。」とか。

そのわりには、ふたりがかりでニンニク一片の皮を剥くのに格闘している。
「ニンニクだけはいいの使ってるじゃん。」
「田子産なの。」
「...?」
「国内産ってこと。」
「まぁ、最高のフカヒレも今は日本産だし、そういうこともあるよな。」
「だからって、フカヒレなんてそう手に入らないけど。」
「ふーん、あったらオレとこいつで最高なのを作ってやれたのに。」

うるさいけど、優しいとこもあるんじゃん。

小皿に顔をうずめるようにして、中国人の小人が味見をする。指示通りとはいうものの、作業のほとんどは私がやったので、内心ドキドキだ。
助手が続いて、味見する。
「好吃。」
「どう?おいしい?」
「あたりまえだよ、オレたちがついてたんだから。」

ガチャガチャ。
玄関から鍵を開ける音がする。どうやら食べる人たちのお帰りだ。

「じゃぁ、これからもがんばれよ。」
中国人の小人のシェフとその助手はシンクの穴へと消えていった。
私の指先には小さな刺し傷が赤く残っていて、まだ少し痛かった。
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# by r_dew_1 | 2006-08-30 20:12 | A4  

暇な人だけどうぞ。

原油取引に投資しませんか。まったくどこでどう電話番号を調べてくるのか全世界が注目する原油相場の話がごくごく小市民のウチに迷い込んで来るなんてそれだけでもうプンプンのウソ臭さだ。


「もしもし?聞いてますか?」

「....、はい、聞いてます。」

「ですから、何で人は毒を持つフグを食べたのか。ってことです。何故だと思いますか?」

「食べるものがなかったから。」

「違いますよ。他の魚や貝だってあるでしょう。なのに何故、わざわざ毒の危険があるフグなのか。ってことです。」

「それしか捕れなかったから。」

「...。だから、そうじゃなくてぇ...。」


唐突に「フグをはじめて食べた人は死んだと思うんです。なのに何故今日まで食べられ続けて来られたのだと思いますか。」と話をはじめた。投資のうま味やリスクの説明を「フグ」に喩えようとしてているらしいのだが、あまりにもへなちょこ展開なのでそのまま受話器を肩で挟みながら話を聞いている。私から「おいしいから。」という言葉を引き出したいのはわかっている。けどそう答えないためにかけあい漫才みたいになって話が先に進まないのだ。


「内臓は食べなかったから。」

「...それはですね、おいしかったからなんです。」

「はぁ。(あ、なんだ自分で言っちゃったんだ。)」

「ですから投資というのもフグのようなもので、
 きちんとしたノウハウをもって毒を取り除けばおいしいところだけを手に入れることができるのです。」        

「はぁ。」

「で、今、原油価格が高騰しているのを知っていますか?」

「まぁ。」

「原油が高くなるってことは、モノの値段が上がるってことなんですよ。
 再びオイルショックみたいなことが起こるかもしれないんですよ。
 オイルショックのときのように、トイレットペーパーが買えなくなったりしたらどうします?」

「オイルショック、知ってるんですか?」

「知りませんけど、テ、テレビで見ました。」

「ふ〜ん。」

「白黒テレビ。」

「もう、カラーだったんじゃない。」

「・・・そうだったかもしれません。
それにしてもトイレットペーパーがなくなったらどうします?」

「あれはなくなったんじゃなくて、噂であんな取りつけ騒ぎになっちゃったんでしょ。」

「風説の流布ですね。」

「えっ、違うと思うよ。」

「そ、そのようなもの、ってことです。今はウォシュレットがありますしね。」

「それだともっと原油使うことになるんじゃない?」

「それでは主婦の方にはちょっと気になるお話をしますね。
 納豆。食べますよね、納豆。.....」

「容器が石油製品なんでしょ。」
 
「お、よく知ってますね。値段は変えずに中身が少なくなっているんですよ。
 遂にはひきわりになってしまうかもしれません。」

「ひきわりのほうが工程は多いから高くつくんじゃない。」

「そうかもしれません。じゃあ、かまぼこ...」

「ちくわ。」

「あっ、そうちくわでした。」

「穴でしょ。」

「大きくなってるんですよね、穴が。あと、片栗粉の量も多くなってるんです。」

「ふーん。ちくわって、片栗粉はいってるんだ。知らなかった。」

「片栗粉じゃないかもしれないけど.....、なんかネバネバしたつなぎみたいなものです。」

「大丈夫?なんか話が破綻してきてるんじゃないの。」

「そんなことありませんよ。とにかく私たちの生活には原油はなくてはならないものなんです。
 もしなくなったら江戸時代の生活並になってしまうそうです。」

「それも楽しいかも。」

「楽しくないでしょう。プラスチック製品はみんななくなって、携帯なんて木になっちゃうんですよ。木。」

「そのまえに携帯がなくなるんじゃない。」

「ところで原油は何で出来ているか知っていますか?」

「化石。」

「おっ、よく知ってますね。何億年も前のプランクトンなどの化石なんです。その原油が今や足りなくなってきているんです。
 だからといって次の原油が出来るまでに何億年も待てますか?」

「もういいよ。いまある油田の原油がなくなる頃には私、死んでると思うから。」


まだあと2倍くらい話は続いた。
原油に投資はしないけど、君がいいやつなのはわかったよ。おもしろかった。
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# by r_dew_1 | 2006-07-21 12:50 | A4  

カタツムリ。

スポーツジムというのは行きはじめるとせっせせっせと通いつめるものだけれど、ひょんなことで間が空いたりすると、たるんたるん自覚に心を痛めながらもエントランスの人にやさしいはずの緩段差が飛び越えられなかったり、インストラクターの妙に健全風な笑顔とそれにそぐわないスネ毛を思い出しただけで腰が引けたりする。そう、肉体ではなく精神の筋力のほうがずっと衰えやすい。瞬発力も持久力ももっとどこか深いところから鍛えなければならないのかもしれないと薄々思っている。

そんな気持ちを押して出かけた梅雨の晴れ間。

ロッカー室で着替えをしていると、少し離れた奥の床に小指の先ほどのゴミが落ちているのが気になった。水気や毛髪が落ちるロッカー室は常にモップを持った清掃員が巡っていて退治するから、おおきなゴミはすぐに目に付く。
「今日は走るのはやめておこう。」などと考えながらも一応持ってきたアミノ酸ゼリーをズーズーと吸い込む。持久力を高めるタイプのお手伝いさんはガソリン臭くもなく、グレープフルーツ味で結構おいしい。なんならお手伝いさん5人分くらい飲んで絶大な持久力をパワーアップしてみようかとも思うがそういうものでもないらしい。身体は複雑なのだ。

と、
あれ?さっき見つけたゴミが足元にあった。

綿埃を運ぶほどの風もなかったし、着替えているあいだに人も来なかった。なんだろうと見ると、それはちいさなカタツムリだった。本物のカタツムリとの思わぬ場所での何年ぶりかであろう対面は私の心をほころばせた。
「梅雨なんだね。」
カレンダーの6の字にも、天気予報の梅雨前線パネルにも、「ジメジメ」と安直を連呼するキャスターのコンビニエンスな声にも伝えられない天然果汁の実感がみずみずしく口元からこぼれ落ちた。

小さいながらも誇り高く、ツンと突き立てているのは「ツノ」なのか、「ヤリ」なのかと考えながら、このカタツムリのすぐそこの未来を心配してみる。老眼の清掃員が持つモップの餌食になるか、足元など気にしないおしゃべりなママ仲間の固そうな踵に押しつぶされるか、運良く水を頼りに逃げおおせてもそこには塩素の大海が拡がっているに違いない。

とすれば、
このカタツムリの未来は私が握ってしまった。

人で言えば、このサイズのカタツムリは幼児くらいだと思う。縁や陰に沿って進むという用心深さがないように思えた。よく見ると渦巻きの殻も透き通っていて少しの力でくしゃりとつぶれてしまいそうだ。ますます放っておくことができなくなった。そんな思いとはうらはらに、我関せずとカタツムリは私の足元をもの怖じもせずに、「ツノ」だか「ヤリ」だかをますます突き立て通過しようとしている。

まず捕獲?
でも、どうやって?

人さし指を進行方向の床にぴったりと押しあてて待つと、迷いもせずに爪の先を伝って来てあっけなく捕獲。幼児のあまりにも脆い危うさに落胆。「あーあ、簡単にさらわれちゃうじゃん。」

指を浮かすとさすがに異変に気づいたらしく、動きが止まった。さてどうしたものかと乗せた指を止めると、カタツムリは、「ま、いっか。」みたいな気楽さで第2関節に向かってくる。ねっとりとした粘液と這う感覚が気持ち悪くて、おもわず振り落としたくなる。どうやら窮地に追い込まれているのは私の方らしい。

ふと見ると、転がっていたアミノ酸ゼリーの白いキャップがちょうどいいベビーカーになりそうだった。さっきの要領で移動させ、キャップを揺らすと「ツノ」も「ヤリ」も「アタマ」も溶けるように殻に吸い込まれていった。まぁ、強引に寝かしつけたということ。

小さなキャップに眠るカタツムリを慎重に持って館内を歩き、エントランスの生け垣の根元に移した。最後に屈託なく這っていくカタツムリを見送りたいとは思ったけれど、いつ起きるかもわからないのでペットボトルの水をかけて後にした。階段を上りながら、水を口に含む。相変わらずコントレックスは重くてまずいと思った。だから私は階段を一段抜かしで上っていった。
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# by r_dew_1 | 2006-07-10 22:19 | A4  

サムライブルー

オーストラリア戦はまったく...ガッカリ坊主になってしまいました。

アメリカ産は不安だし、国産は高いし、オージービーフは悔しいし。で、あれから牛肉は食べてません。コアラだって、ワラビーだって今はぜんぜんかわいくありません。一度は日本代表に「そのままドイツ人になってビールを作れ!」などと悪態をついてしまいましたが、ドイツになんの責任もないのでした。日本国民はテポドン2号の理不尽な恐怖と戦うから君たちはクロアチアと戦って!そして勝って!。



青色のバラを作ることはとてもむずかしいそうです。
a0037253_18185069.jpg


今日のクロアチア戦に勝利できるよう、サムライブルーという名のバラを。




ワールドカップ応援企画に参加しました。
■□■【ニッポン】ブログ中を青で染めろ!【ChaChaCha!】■□■□■
【内容】
みなさん、サッカーワールドカップに出場する日本をブログを通じて応援しましょう!
要は簡単、ブログを青色に染めるだけです!
企画は、日本がワールドカップに勝ち残っている限り続きます。 
※誰でも参加出来るようにこのテンプレを記事の最後にコピペして下さい。
企画元 Everythin in Life is Only for Now http://sabretooth.exblog.jp/
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

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# by r_dew_1 | 2006-06-18 18:26 | A4  

写真を撮ってみる。(但し、デジタル)

ここのところのお散歩にカメラを持って出かけたり、植物にカメラを向けてみたりしています。

カメラはあれこれと揃える条件が難しくてめんどくさくてあまり好きなツールではなかったのですが、最近のデジタルには驚きました。銀塩とは別物ですわね、ホント。カメラというより、記録機能付き顕微鏡とか望遠鏡みたい。しかもオート。「計らなくてもいいのよ!押せば見えたものがそれなりに美しく撮れてしまうのよ!」みたいな新しい感心があります。わたくし的喩えでいいますと、デジタルカメラは『市販のルーでつくるカレー』。銀塩は『スパイスからつくるカレー』。ややこしく面倒な部分は使いやすく調理済なのです。ハウスとかグリコとかエスビーがキヤノンとかニコンとかソニーになるのかぁ。という低レベルなとらえ方です。間違っててすみません。また、わたくし的空想でいいますと、小人のカメラアシスタントが住んでいて、いろいろ働いてくれているのだろうかと...。だからカメラは丁寧に扱わないといけないのです。小人のおうちなんですから。間違っててすみません。

今後はテキトーに写真も載せたりしてみようかと思いました。


a0037253_233279.jpg
●○●食後のライオンみたいでした●○●                                                                  
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# by r_dew_1 | 2006-06-11 23:14 | A4  

いつもの朝。

《お題》
『「やった! ついに完成した。この発明は人類の歴史を変える!」・・・え? どんなふうに?』



「早くしなさーい!」

熱くなったフライパンに卵を割り落とす。
朝の忙しい時間なのにチリチリと焼けていく白身のふちを見つめながら、これまでの人生で私は一体、いくつの卵をこうして割り、焼いたのだろう。などと、ふと考える。
私の叫ぶ声は卵と油の口げんかの声にかき消され、半永久的にマイナスイオンを発し続けるという張り替えたばかりの『森の壁』という名の壁紙に吸い込まれていく。壁紙の機能なんて別に半永久的でなくてもいいのに...。と思う。あと10年もしたら汚れてしまって、再び新しいものに張り替えることになるのだから。

s博士がその量産化方法を発明、それによって完成をみたロボットは今やほとんどの家庭に普及している。あと10年も経てば私たち人類はそれを使いこなし、歴史すら変えてしまうかも知れない。

          
          ***


息子の朋生が転げ落ちるように階段を降りてくる。

「おはよう。ねぇ、かあさん。今日だけアレ、貸してよ。」
「ダメダメ。今日は早番だし、そのつもりで動いてるんだから。」
「今日だけ、ねっ?」
「だ〜め!」

「あー、遅れちゃう!」
娘の菜央には「おはよう。」と「遅れちゃう。」の違いを上手く教えられなかったことを、親としてとても反省している。
それでもトーストの上に器用に目玉焼きをすべり乗せて、コーヒーで流し込んでいく様子をみていると、親の力だけではどうにもならない時代なのかもしれないなどと、妙にあきらめてしまうのだ。

「ねぇ、今日だけ貸して。」
朋生が今度は菜央にねだっている。

「いやよ。朋にはアレで充分。私だって小学生のときはそうだったんだから。」
「なんだよ、ケチ!」
「ケチで結構。あー、遅れちゃう。」

「かあさん、とうさんもう、出かけた?」と、朋生が私に訊く。
「まだだけど、とうさんに頼もうと思ってるんなら、無駄だと思うけど。」
「そうそう、無駄無駄。」と、菜央がからかい半分にチャチャを入れる。
「オマエはうるさい、黙ってろ!」
最近まで泣かされ続けだった朋生は怒ると姉をオマエというようになっている。

夫の出社は日ごとに時差が変わるので不規則になる。今朝はそろそろ出かける時間だ。
「おはよう、朝から賑やかだな。」

「あっ、とうさんおはよう。途中、学校へ送って行ってよ。」と、さっそく朋生。
「今日はだめだな。会議場が36年後なんだよ。操作が複雑になるからね。」と、夫にもあっさり断られる。

「いってきま〜す。」
菜央がほらね!という顔で朋生を一瞥して朝食の席を立ち、庭先へ向かった。
ここ数年、菜央はここから家を出る。
ガチーンといつもより強めの音を立てて打たれたボールは、菜央を乗せていきおいよく飛んでいった。

コーヒーを飲み終えた夫が
「それじゃ、行ってくるから、」といって2階の部屋に上がっていくのを見送り、時計見るとそろそろ私も出かけなくてはいけない。

「朋!ぐずぐずしないで早くしなさい。」
「ふぁ〜い。」ふて腐れた返事が返ってくる。
やる気のなさそうな朋生の頭にペタリと吸盤を押し付けてつけて背中を玄関へ送り出す。

他の小学生たちの登校はとっくに始まっていて、この時間の見なれた風景を見上げる。
新一年生たちはまっすぐと一列になり、3、4年生になると、友だちどうしで相談したのか渡り鳥のように簡単な図柄を描いたりしながら飛んで行く。朋生たち6年生といえば...、なんだかどの子も半分眠っているようなかんじでフラフラと飛んで行くのがおかしい。それでもいつの時代も子どもたちには朝の光がよく似合う。

小学生は特別な理由がない限り、徒歩かタケコプター登校と決められている。
朋生にとって今日は『特別な理由』を行使したい何かがあったのかもしれないが、大人になるとはずかしくてタケコプターなどつけられない。いまのうちだけの醍醐味なんだということ、あと数年すればなつかしい体感の記憶になってしまう。

菜央も来年は高校生になるし、年頃になればいつまでも乗り物ボールというわけにはいかなくなる。
さすがに純正品には手が出ない。複製品はポケットの道具が8時間に1回しか使えない。ひとり1台持てれば複製品でも充分なのだけど、家族で共有するとなると足りないものも多くなる。
夫も30年未来から50年未来の仕事も任されるようになったらしくて、タイムマシーンは必需品だ。ますます物入りになるけれど、その分手当ても上がるだろうし、私も副店長に昇格できそうだ。もう1台くらい買えるかなぁ。と思う。

 
          ***


そんなことを今朝も考えながら家族を送りだし、身支度を済ませた私は大きな声で叫んだ。

「ドラえもーん!出かけるから、どこでもドア出してぇ〜!!」



講評/審査結果
TBでボケましょう2006第4回に参加しました。
■□■□■□■【トラバでボケましょうテンプレ】■□■□■□■□■
【ルール】
 お題の記事に対してトラックバックしてボケて下さい。
 審査は1つのお題に対し33トラバつく、もしくはお題投稿から48時間後に
 お題を出した人が独断で判断しチャンピオン(大賞)を決めます。
 チャンピオンになった人は発表の記事にトラバして次のお題を投稿します。
 1つのお題に対しては1人1トラバ(1ネタ)、
 同一人物が複数のブログで1つのお題に同時参加するのは不可とします。

 企画終了条件は
 全10回終了後、もしくは企画者が終了宣言をした時です。

 参加条件は特にないのでじゃんじゃんトラバをしてボケまくって下さい。

 ※誰でも参加出来るようにこのテンプレを記事の最後にコピペして下さい。

 企画元 毎日が送りバント http://earll73.exblog.jp/
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
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# by r_dew_1 | 2006-04-23 19:38 | A4  

ネコのいない理由。

《お題》

『2006年、今年は戌年です。
犬と猫、これほど大昔から馴染みのある動物なのにいくら待っても猫年はやってきません。
干支を決める時、神様が伝えた日にちを一日遅くネズミが猫に教えたため、猫は干支順番競争に間に合わなかったらしいですね。
で、それからというもの猫はネズミを追いかけるようになった・・・とか。これが一般的な説。
んが!違うのですよ、本当は。
猫が干支に入っていない本当の理由は・・・・・!!』 



ね・うし・とら・う・たつ・み・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・い・ね・うし・とら・う・たつ・み・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・い・・・・・



《ボケ答》

『猫は化けるからです。
干支順番競争は厳正なルールに基づいて行われました。
たとえばネコバスなどに化けられては困るわけです。
残念ながら、特殊能力保持(疑)動物ゆえに出場権を得ることすらできなかったそうです。
よって同様に狸も狐もここにはいないのです。』

 
余談ですが、当日は別の場所で堕神主催の化けコンテストが催されていました。語り継ぎたくないほど笑えたそうです。



TBでボケましょう2006第1回に参加しました。
講評・審査結果
■□■□■□■【トラバでボケましょうテンプレ】■□■□■□■□■
【ルール】
 お題の記事に対してトラックバックしてボケて下さい。
 審査は1つのお題に対し30トラバつく、もしくはお題投稿から48時間後に
 お題を出した人が独断で判断しチャンピオン(大賞)を決めます。
 チャンピオンになった人は発表の記事にトラバして次のお題を投稿します。
 1つのお題に対しては1人1トラバ(1ネタ)、
 同一人物が複数のブログで1つのお題に同時参加するのは不可とします。

 企画終了条件は
 全10回終了後、もしくは企画者が終了宣言をした時です。

 参加条件は特にないのでじゃんじゃんトラバをしてボケまくって下さい。

 ※誰でも参加出来るようにこのテンプレを記事の最後にコピペして下さい。

 企画元 毎日が送りバント http://earll73.exblog.jp/
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# by r_dew_1 | 2006-02-18 14:11 | A4